原文はこちら:【Diving After Your COVID-19 Vaccination : Guidelines】
以下の内容は、DANヨーロッパからの情報で、DANヨーロッパの了解を得て翻訳したものです。
また、この情報は現時点におけるものであり、今後の新しい情報に注意願いますとともに、ダイバーに有益と思われる海外DAN等の情報に接した方は、DAN JAPANまで連絡願います。ダイバーの安全等に係る情報については、極力、翻訳・発信させていただきます。
なお、海外DANの発信する情報には著作権があり、無断で利用することはできませんので、ご注意ください。
COVID-19ワクチンを接種したものが高圧環境に曝露される活動を再開する際の勧告
2021年4月2日アップデート
以下の注意事項は、「ベルギー潜水・高圧医学会(SBMHS-BVOOG)」の立場を示すもので、また、現在、EUBS(欧州水中・高圧医学会)およびECHM(欧州高圧医学委員会)、DANヨーロッパが確認しているものです。これは、本文書の出版時点で入手可能なデータに基づいて編集されていて、今後、変更されることもあります。 ですから、今後も引き続きこのページにアクセスして、最新のものを入手するようにしてください。
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「欧州医薬品庁(EMA)」は文書の中で、ヨーロッパで使用が承認されたワクチンに関する検証過程の一部として、ワクチン接種後にいくつかの副反応が生じるかもしれないことを指摘しています。
これらの副反応は、一般的に軽度であり、また、通常すべてのタイプのワクチンに共通するもので、たとえば、頭痛、軽い発熱、吐き気、接種部位の痛み、めまい、胃腸障害、リンパ腺腫大、血栓塞栓症などがあります。副反応は、ほとんどがワクチン接種後12時間から48時間の間に生じますが、極端な症例では7日間に及ぶこともあることがわかっています。アナフラキシーのような重篤な副反応は、幸いなことに極めてまれで、また、ほとんどが複数のアレルギーを持つ人に観察されています;こうした副反応は、ワクチン接種後すぐ、接種後の30分以内に生じます。副反応は、2回目のワクチン接種後に生じる頻度がより高いとも報告されています。
これまでに報告された大部分の副反応は軽く、承認されたワクチンの安全性に何らの問題をもたらすものではありませんが、そうした副反応がダイビングという条件、たとえば、水に入る、圧力を受ける、低酸素/高酸素の環境にいる、などによって、さらに増幅されるかもしれません。さらに、COVID-19ワクチン接種によるなんらかの免疫学的影響によって、一時的にダイビング関連の疾病のリスクに影響があるかもしれません。減圧障害(DCI)に関して安全な範囲で問題のないダイビングをした後で、DCIに関係するかもしれない症状が出たという逸話的なケースがいくつかあって、ダイバーのコミュニティでは少しばかり心配が生じています。
現時点で、副反応の強さにダイビングが影響することに関するエビデンスは何もありませんし、その結果、ダイビングの安全に関するダイバーの遂行能力に影響が生じるというエビデンスもありません。こうしたワクチンが新しい薬剤であることを考慮し、かつ、上記の副反応によって、安全にかかわる課題を遂行する上での障害が生じないように、ダイビングコミュニティが、COVID-19ワクチン接種に関するWHO, EMA,および ECDCによる情報とガイドライン(参考文献参照)に注目するようにお願いしたいと思います。また、以下のような具体的な注意事項を付け加えておきたいと思います:
1.COVID-19パンデミックをできるだけ早期に抑え、あるいは、収束させることが必要なことを考慮し、また、現時点で、何としてもそれを成し遂げる唯一の方法は、ワクチン接種がいきわたることなので、ワクチンが打てる状況になったらすぐに、国のCOVID-19ワクチン接種計画に従ってすべての人がCOVID-19のワクチンを接種するように強く勧めます
2.COVID-19のワクチンを接種したら、「圧縮ガス潜水」あるいは「息こらえ潜水」を実施する前に、ダイバーは、最低7日間待機するようにしてください。
3.以下の場合、ダイバーは待機時間を14日に延ばすように勧めます。
a. ワクチン接種後、副反応が48時間を超えて続く者
b. 以下のような健康上のリスク因子を抱えている者(ただし、これだけに限られるわけではありません):
i.過剰体重
ii.慢性代謝性疾患(糖尿病を含む)
iii.喫煙
iv.血栓塞栓症のリスクを高める可能性のある薬物使用(経口避妊薬を含む)
v.または、上記を複合的に有する
c. 特殊な専門的スキルを必要とするダイビングや無減圧でのリクリエーショナルダイビングの限界を超えるダイビングを行おうとする者(テクニカルダイビング、ディープ減圧ダイビング)
4.COVID-19ワクチン接種後、48時間を超えて、ワクチン接種の副反応が持続する場合は、かかりつけ医に診てもらうよう、ダイバーに勧めます。
5.COVID-19ワクチン接種後、7日以内にリスクが低いと思われるダイビングをして、潜水障害に関係するかもしれない何らかの症状が生じた場合には、潜水医学の専門医に診てもらうことを勧めます。そうした事例があった場合には、DANヨーロッパ医学部門に報告していただけるよう、すべてのダイバーおよび現地のダイビング連盟、学会にお願いいたします。連絡先は、以下です。 medical@daneurope.org
6.COVID-19ワクチン接種では、SARS-CoV2ウイルスを完全に他人にうつさないようにはできませんので、ワクチンを接種したかどうかに関わらず、すべてのダイバーは、防護手段(距離、マスク、消毒)を引き続き守らなければなりません。
参考文献
• European Centre for Disease Prevention (ECDC) – Overview of the implementation of COVID-19 vaccination strategies and vaccine deployment plans in the EU/EEA
• ECDC – COVID-19 vaccination and prioritisation strategies in the EU/EEA
• European Medicines Agency (EMA) – Comirnaty EPAR -public assessment report
• EMA – Comirnaty – Procedural steps taken and scientific information after the authorisation
• EMA – COVID-19 vaccine Moderna- EPAR-public assessment report
• EMA – COVID-19 vaccine AstraZeneca – EPAR-public assessment report
• World Health Organization (WHO) – Guidance on developing a national deployment and vaccination plan for COVID-19 vaccines WHO COVID-19 vaccines technical documents
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